バラ作りの中で最も厄介なのが病害虫の防除です。早期発見、早期防除に努めることが一番重要です。
病気は一度発生させますと完治するのが大変です。従って特に成育期間中は、病気が発生しないように定期的に薬剤を散布し予防に努めます。
病虫害発生前の通常の対策を「予防的消毒」と呼ぶ事にします。
3月になり新芽が伸び始めたら、まず、予防的に殺虫殺菌剤を散布します。(ウドンコ病、黒点病、アブラムシに効果のある薬)その後、生育期には、1週間に1回、少なくとも10日に1回は行いたいものです。
もし、黒点病やウドンコ病が発生した場合は、「治療的消毒」と呼んでいる方法をとります。2〜3日間隔で4回程の散布を行い、病気が広がらないようにします。それでも病気が広がり続けるようであれば、薬剤を変えて、再度散布を行います。
また、1〜2月の休眠期に病気害虫の越冬防止として石灰硫黄合剤10倍液を30日の間隔で2回散布するのも大変効果があります。石灰硫黄合剤は金属を腐蝕させますから使用器具は良く水洗いして下さい。 |
薬剤散布のコツ |
● 病気も虫も、同じ薬を使い続けると、薬への耐性が出来やすくなりますので、それぞれ数種類の薬を交互に使います。
● 薬剤散布は、葉の裏に十分にかかるように心掛けます。 ●一般的な殺菌剤と殺虫剤は混ぜて散布が出来ます。使用方法をよく読んで、濃度を守り散布しましょう。
● 薬の濃度は、何種類か混ぜて使うことが多いと思いますが、まずは薄いほうの濃度で良いですので、その分まんべんなくたっぷりとかけることが大事です。
● 夏の高温期の日中は薬害(葉が縮れる)が出やすいので、午前中の涼しいときに行うようにしましょう。
● 夕方遅くなってからの散布は、そのまま乾かず一夜を過ごすと薬害が出るので、薬の乾く時間も考えて散布します。
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消毒は敷居が高い方 |
本格的な消毒は敷居が高い方もいらっしゃるでしょう。
その場合、 ホームセンターで販売されているスプレー式の気軽な消毒薬で構いませんから、定期的に散布してみましょう。それで効果があればいいですし。
ただし、恐らく治療までの効果は弱いと思われますので、あくまで予防薬として考えて使用してください。それから、本格的な消毒を試してみますと、効果の程を確認できると思いますので、そう抵抗なく使用できるのではないでしょうか。また、その方が長い目で見ると経済的です。
まずは、やってみよう! |
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次の章で、病害虫の種類とその防除薬を紹介させていただいていますが、その他にも多くの病気や害虫があります。しかし、病気は黒点病ウドンコ病防除薬、害虫は害虫防除薬でほとんど防除できると経験から感じています。
また、病害虫に強い環境を作り、病害虫に強い株を育てることも大事です。
植物が密集していると、風通し、日照が悪くなり、菌も繁殖しやすく、虫や病気が発生しても気付き辛いものです。
バラにとって良い環境で育て、引き締まったよい株になると、葉の厚みも出て、病害虫に対し強くなります。株間を広くして栽培していると、病害虫に目が行き届きやすくなり、早期対策をとることができます。 |
予防が大事 |
天候が悪いと、日照が悪くなり、葉が薄く病気に弱くなりますから、予防にいっそう努めます。
同様に、葉が薄くなる原因として、即効性の肥料を使いすぎることもあります。花屋さんで売っている切りバラの葉は綺麗ですが薄いですよね。加温し、肥料も多めに与えると次々と花は咲きますが、どうしても病気には弱い体質になってしまいます。十分な管理下で育てられているので、商品として出せるのです。
もともとウドンコ病が発生しやすい庭でしたら、花の時期は窒素分を控えるなど、工夫をしてみると良いでしょう。例えば、私共で販売している肥料でしたら、あぶら粕とユーキリンの比率を通常1:1から1:2に変更をします。
気温と湿気の関係も重要ですので、午後の水やりでは葉にかかった水が乾いてから夜を越させるようするようにしましょう。春、秋に、水分が残ったまま夜を過ごさせると、丁度うどんこ病が発生しやすい環境を作っているようなものです。
また、マルチングは黒点病の予防になります。 |
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葉に黒褐色の斑点ができ徐々に葉が黄変し落葉します。下葉から木全体に広がり葉がなくなり木が弱り花も咲かなくなります。特に降雨の多い時に頻発します。
オーソサイド、ジマンダイセン、マンネブダイセン、サプロール、ダコニール、トップジン等で防除します。
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| 当園では通常「ジマンダイセン」を中心に防除しています。これは防除効果は高いのですが、葉に白い汚れがつきます。雨でだんだん洗い流されていきますが、花の開花前になると、汚れが残らない「サプロール」を散布しています。 |
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若い枝や葉、蕾や花首に発生しやすく、灰白色のウドン粉をふりかけた様な病斑がでます。
4〜7月と9〜10月の湿度の高い夜の冷える時に多発します。
また品種によって耐病性が違います。また風通しや施肥管理によっても、ある程度発症を押さえることができます。窒素が多くカリが不足気味な場合に発症しやすいので,バランスの良い施肥を心がけましょう。
ベンレート・サプロール・トリフミン・ラリー等で防除します。
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枝の切り口や傷口から菌が侵入し、表皮が白く乾いたようになり段々と広がり枝を枯らします。
夏の高温期、特に台風時、枝同士が触れ合い棘で傷つくことで菌が入り、発生しやすくなります。
基本的に黒点病の薬で効果があります。
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台風後の消毒のタイミング |
日頃から、台風が通過した後は、消毒をする事を習慣づけたいものです。タイミングよく消毒をすることで、効果があがり減農につながります。
海に近い地域の方は、潮が風にのってきている可能性がありますので、まずは、水で株を洗い流すようにしましょう。「潮に強いバラ」はありません。 |
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開花前の大きくなった蕾に灰色のカビが発生する病気です。蕾はくさり開花しません。湿度が多いと発生しやすいので、梅雨時期等は特に注意が必要です。又、開花期に窒素肥料過多の場合も発生が多く、花の色では白色や淡色の、弁質のやわらかいものに発生が多く見られます。
マンネブダイセン、ベンレートを散布します。冬の石灰硫黄合剤も効果があります。
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順調に成育していたバラが急に衰弱することがあります。こんな時は株元に大きな「醜いコブ」が出来ていることがあります。これが根頭癌腫病です。決定的な防除方法はありません。生産段階での予防薬バクテローズの使用が一番効果があります。(当園では、バクテローズを必ず使用しています。)
初期の小さなコブでしたら、そのコブをえぐりとることで回復することもあります。(ナイフ等でコブを「削る」のではなく「えぐり取り」ます。えぐり取ったと思ったら、それよりもう一回り大きくえぐり取るくらいの気持ちで行います。)
しかし、一般的には成育不良が続きますので、残念ですが株を掘りあげて処分します。
時に枝途中にもできることがあり、出来た場所から先の枝の生育が極端に悪くなります。その場合は、切除することで復活することもあります。
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これは癌腫ではありません!(右下写真) |
芽接ぎ部分が充実してくると、台木を包むようになります。
このコブ状のものを癌腫と間違われる事があるのですが、とてもよい株の状態です。 |
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緑色又は褐色をした小さい虫で新しい茎や葉から養分を吸収し、1年中発生します。
殺虫剤をかけますとすぐに駆除が出来ますが、繁殖力が盛んで数匹残っているだけで、大発生しますので注意が必要です。
マラソン、オルトラン、スミチオン等で防除します。
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6月頃から葉の表面がかさかさに乾いた様に変色します。とくに高温乾燥期に多発します。
肉眼では確認できないほど小さいので、指で葉をこすってみます。ダニが発生していてたら、赤い体液を確認出来ます。 |
ダニ用の薬剤 |
虫(ダニ・スリップス・アブラムシ)は世代交代が激しいので、抵抗力がすぐについてしまいます。完全防除しないと、残った虫が繁殖し、抵抗力をもった子供が出来、次にはその薬が効かないという事態になります。
従って新しく開発された薬が効く訳ですが、新薬開発のための研究費、そして、抵抗力がつきやすいため販売期間が短いなどの理由で、価格は高いのが実情です。 |
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6月〜7月に成虫が飛来し、バラの木、特に根元に産卵し、ふ化した幼虫は茎の内部を食害し、空洞を作り茎を一周すると上部は枯死します。
左写真の成虫を見つけたら「百害あって一利なし」、すぐに捕殺します。
右写真のような枝をかじった痕があったら要注意。近くに成虫がいるという証拠です。
子孫を良い状態で残そうとするためか、よく太った株を狙って産卵しようとするように思います。
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幼虫は、木クズのようなフンを地上に出しますから、フンを見つけたら穴に針金を入れて幼虫を刺し殺すかEPN乳剤等(残った殺虫剤で可、スプレー式のカミキリ虫用の薬も販売されています。)を注入して殺します。
右写真は枯れ死した株元から出てきた幼虫。 |
体長1〜1.5cmで、腹部全体がオレンジ色でで黒い羽を持ちます。
茎に卵を産みつけ、卵から幼虫が孵り葉を食べてしまいます。
産卵中は捕まえやすいので捕殺し、産卵した場所は切除します。 |
体長2cmほどで胴にオレンジ色の帯のあります。
4月中旬から5月中旬に発生します。この時期に新芽の茎に産卵しますが、この時に茎の導管を切断するため急に新芽がしおれます。(右写真)
このハチは飛来して産卵しますので完全防除は困難ですが、定期的な消毒である程度防げます。
被害茎には、縦に2mm位の黒い傷が有ります。そこに産卵していますからこの部分を除くように茎を切ります。 |
5月頃から新芽の先(花や蕾)を飛来した成虫が食害し、土の中に産卵して孵化した幼虫(左写真)が根を食い荒らし、葉が黄変し枯れることもあります。
成虫は、見つけたら捕殺しますが、朝早い時間帯は動きが鈍く捕まえやすいです。
子孫を良い状態で残そうとするためか、腐葉土の多い良い土を選んで産卵するので困ったものです。
鉢の中に3匹の幼虫が見つかり、細根を全て食べられてしまいました。(右写真)
復活するかどうかわかりませんが、なるべく根を残して植え替えるしかありません。 |
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| 殆どの害虫は一般的な殺虫剤で駆除できます。飛来してくる害虫は完全な駆除は難しいとはいえ、定期的な消毒はやはり効果があります。病気予防の消毒に殺虫剤も混ぜて、定期散布を行いましょう。殺虫剤は基本的には虫の体に薬がかからないと駆除できないと考えて散布を行うようにしましょう。
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右写真のように葉の周りが茶色くなり、「病気!?」と心配になる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは、水不足によるバラの生理現象で、次の芽は綺麗に伸びていますし、この段階では心配はありません。
写真のバラは鉢植えで、真夏に撮影されています。
水不足・・・でも、水遣りはやっているのにどうして?と思われるかもしれません。
毎日水遣りをしていても、例えば人間が涼しいと感じる風のある日はバラにとっては乾燥が加速する日ですので、いつもより多めに与える必要があります。また、とても暑い日は、葉からの水分の蒸発に根からの吸水が追いつかず、いくら水を与えたからといっても、結果水不足の状態になることもあります。ある程度仕方のないことではありますので、心に余裕を持って育ててくださいね。一時の水不足があっても、こうして次の芽を出し、花を咲かせるバラはけなげで可愛いです。 |
右の写真は葉が茶色くなるほどではない軽度の水切れの状態で、葉にゆがみが出ています。
この程度のものは真夏に良く見られます。
そのうち涼しくなると、落ち着いてきますから、どうぞ焦らずお世話を続けてください。
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鉢の中だけの世界だから人間の腕次第 |
地植えの場合は、根付いてしまうと、たとえば少々の乾燥にも耐えうるようにバラ自身が根を伸ばすなりして対応する力を持ちますが、鉢栽培の場合は、バラにとって一番大事な水の管理は人間が行うことになります。また、肥料を与えすぎた場合に逃げる場所がありません。
バラは強い植物ですが、鉢栽培の場合は、人間の作った環境の中でしか生きられないということを念頭においてお世話をしてください。 |
バラは強い植物です。 |
バラを育てたことがない方は、「バラは大変」、「バラは弱い」とい印象を持っている方も少なくありません。
しかし、実際に育ててみますと、バラのたくましさに驚かれる方も多いのではないでしょうか。また、四季咲き性のバラは本当に繰り返し良く咲く働き者で、肥料を欲しがるのも頷けます。これだけの幸せを与えてくれる樹木はそうそうないように思います。
バラは基本的に強い植物です。しかし、根を乾燥させてしまうと枯れ死します。あと致命的なダメージとしては、根頭癌腫病とカミキリムシの幼虫の害くらいでしょうか。
一年を通してバラと接することで、「人間が朝起きて歯を磨いて・・・」と同じように、「月に一回施肥して、冬になったら剪定して・・・」とそのスケジュールどおりにすることが意外と楽に感じてきます。基本は毎年同じですから。
バラの花はことのほか美しく、お世話の加減で花が違ってくるので、更にバラを美しく咲かせたいという思いが様々な「バラの栽培法」に書かれています。多少の違いがあっても、だいたい主旨は同じではないでしょうか。
まずは一年、以上の栽培法を参考に出来る範囲でやってみてください。(水だけは重要!)
分かることが沢山ありますし、理解の度も深まり、「バラって素晴らしい!」と感じていただけると思います。 |
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